ラーメンの聖地とでも言うべき長浜。その長浜で元祖のラーメン屋。創業は昭和27年。その歴史にはおんぼろなたたずまいも神秘的に感じられます。
ここは24時間営業で、僕が訪れたのは朝10時前だったにもかかわらず店内は満席。
入店すると店員さんが「一杯〜」と厨房に伝えています。そう。ここには注文などなく、入店するとそれがラーメン1杯の注文となるのです。なんともストイックでかっこいい。
よって麺の固さや油の量を注文したい時は入店と同時に店員さんに伝える必要があります。常連さんの間では「ナマ」「カタ」「ベタ」「ベタカタ」などと言うようです。「ナマ」は東京で言うところの「粉落とし」くらいに相当するようで、「ベタ」とは「こってり」の注文のようです。僕は初めてだし良く分からなかったのでとりあえず麺だけ「カタメ」で頼んでみました。替え玉をカタメで頼みたいときには「カタイタマ」、さらにもっとカタメで頼む時には「ナマタマ」と言っていました。東京には[二郎]での注文が俗に「呪文」と呼ばれていますが、ここでの麺の注文の仕方はそれに似た感覚がありました。
殺伐とした雰囲気のなか運ばれてきたラーメンは実にシンプルな見た目。その飾り気のなさにはある種の潔さと、元祖であるが故の自信を感じます。
店内は豚骨臭に満ちていますが、スープはびっくりするくらいにあっさり。味付けも非常に薄く、お湯っぽくて物足りなさを感じますが、すっきりした味わいはじっくり味わえば確かな旨味がありなかなかおいしい。
麺は加水率のかなり低い物で僕のイメージする博多の麺と言うヤツでした。スープとの相性もよく、このスープにこの麺の組み合わせはまさに必然であるかの様な説得力があります。
それらスープと麺にを邪魔することなく、具はきわめてシンプルに、チャーシューとネギのみ。肉はしょっぱめで独特の旨さがあります。カウンター上にはゴマ、ニンニク、紅ショウガが並びそれらを入れて味を作るのもまた楽しい作業。しかし辛子高菜が無いのは少々残念ですね。
正直言って全体的に感動するおいしさは無いです。むしろちょっと拍子抜けと言うか、「え?こんなもんなの?」と言う主張の弱さがありますが、やはり元祖は元祖。長浜ラーメンの原点たるオーラがあり、思い出すとまた食べたくなる味だと思います。しかしラーメン400円。替え玉50円とは安いですね。
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